日本の美意識は、光 と影の感覚にあるといえます。静かにたたずむ日本家屋に、庭から差し込む日のひかり…。優しく温かい粉引(こひき)のお茶碗と、湯気の立つ漆の椀。戦後入ってきた洋風住宅などは、徹底的に光で照らし影を無くそうとしますが、日本家屋に灯るあかりは、陰影があってこそ、引き立つ工夫がなされています。江戸時代の家を改修するとき、改修中の家を見ると、当時の棟梁や家主がどんなことを考え建てたのかを語りかけてきます。古き良きものを残そうとされるその思いを、私たちも大切にしたいと思っています。
リノベーションとは、機能・価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修を行うことをいいます。例えば、水・電気・ガスなどのライフラインや構造躯体の性能を、必要に応じて更新・改修をしたり、ライフスタイルに合わせて間取りや内外装を刷新することで、快適な暮らしを実現する現代的な住まいに再生していきます。価値あるものをつくり、長く大切に使う。私たちは伊勢発200年住宅への挑戦を合言葉に、メンテナンスに力を入れていきたいと考えています。